私の名前は亀山桜。地元の大学に通っているが親に無理を言って一人暮らしをしている現在大学2年生で、先月成人を迎え大人の仲間入りをしたのである。お酒だって飲んでもいいし、いずれは自分用にクレジットカードも作りたい。成人してから毎日楽しく生活を送っている。

ある日、SNSをきっかけに知り合った同じ大学の先輩である滝さんからメッセージが来た。「明日の昼、時間空いている?もしよかったら一緒にご飯食べようよ」という内容であった。滝さんはSNSでは多くのフォロワーがいて、周りの友達からも憧れのような先輩であった。直接先輩に会ったことはなかったが、SNSでのやり取りでは気が合った上、食事くらい別に嫌な気がしなかったので誘いに応じることにした。

―翌日―

食事も一通り終えたころ先輩が突然真剣な顔をして話を切り出した。

「楽にお金が稼げる儲け話があってね。俺はこれで月に40万円以上儲けたんだよ。」

先輩の話を聞くとバイナリーオプションとかいう投資によって先輩はかなりお金をもうけたらしい。しかし、私は投資なんてもの不安で自信もないと伝えると

「大丈夫。絶対儲けられる。今すぐ始めないと損しちゃうよ。投資自体は資料のようなものを参考にしたら大丈夫だから。」

などと長時間説得をされた。相手は同じ大学の先輩であるうえ、長時間熱く説得をされては「断る」とは言えなかった。

先輩が言うには参考資料となるUSBを買う必要があり、値段は50万円ほどするそうだ。

バイトをしているとはいえ、一般家庭の生まれでまだ20歳で一人暮らしをしている私には50万ものお金は持っていないと先輩に言うと

「学生ローンでお金を借りれば問題ないよ。海外の大学に2週間留学するということでお金は借りられるよ。」

と勧められ、数か所の事業所を経由して50万円を借金して先輩が勧めたUSBの契約をして手に入れた。50万円もの借金を背負ってしまったが、先輩のように儲けられることを考えれば必要経費だと思えた。

―数か月後―

USBの指示通りに投資を行ったが赤字になる一方だった。

そこで先輩に相談しに行くと

「そうか。まぁ運がなかったのかな?でも、大丈夫な方法もまだあるよ。桜ちゃんの知り合いにこのUSBを勧めて購入させれば、1人につき5万円キャッシュバックされるんだよ。桜ちゃん友達たくさんいるだろうから、その子たちに勧めてキャッシュバックしたら借金もなんとかなるんじゃない?」

と言われた。さすがに私は自分の友人に危ない橋を渡らせたくない思いがあり、乗り気になれなかった。友達を裏切りたくない上、これ以上粘っても儲けられる気がしなかった。

そこで先輩に解約の意志を伝えると

「解約?できないことはないけど、解約するなら違約金として10万円が課せられるよ?そんな余裕が今の桜ちゃんにはあるの?」

と言われた。すでに大量に借金をしている私にはもう10万円を払う余裕などなかった。私は成人して大人になるということがどういうことか理解できていなかった…。今までは親がどうにかしてくれていたが、大人になると責任は全部自分が背負うことになってしまうのだ…。親にこのことが知られたら、一人暮らしを止めさせられるだろう…。こんなこと最初からするべきではなかった…。親や友達とかに相談するべきだった…。

私は私を陥れた先輩に憤りを感じると同時にUSBを購入した事に後悔した。

私は決して大人などではなかった…

私は大人になったと浮かれていた、ただの愚か者であった…